
エジプトハゲワシ
英名:Egyptian Vulture
学名:Neophron percnopterus
分類:タカ目タカ科エジプトハゲワシ属
ハゲワシ類の中で最も小型の種の一つです。属名の Neophron はギリシャ神話の登場人物から、種小名の percnopterus はギリシャ語で「黒い翼を持つもの」を意味します。その白と黒の姿と、古代エジプトで神聖視されていたことから「ファラオの鶏 (Pharaoh’s Chicken)」という英名も持ちます。
エジプトハゲワシの特徴
どれくらいの大きさ?体の特徴は?
体長58-71cm、翼開長155-170cm。
成鳥は全体的に汚白色の羽毛で、翼の先端(風切羽)が黒いのが特徴です。顔は羽毛がなく、鮮やかな黄色の皮膚が裸出しています。嘴は細く、先端が黒い。首の周りには、ボサボサとした襟巻きのような羽毛があります。
どこに生息している?
南ヨーロッパ、アフリカ、中東、中央アジア、インドにかけて広く分布します。北方の個体群は冬に南へ渡ります。
開けた乾燥地帯を好み、岩の多い丘陵地、断崖、半砂漠、サバンナなどで見られます。人間の居住地の近くにも現れ、ゴミ捨て場などを餌場とすることもあります。
何を食べて生きているの?狩りの方法は?
雑食性で、動物の死骸、昆虫、小型の爬虫類、鳥の卵、さらには動物の糞まで、非常に多様なものを食べます。
知的な本種を最も有名にしているのは、道具を使う行動です。 ダチョウのような大きくて硬い卵を食べるために、口に適度な大きさの石をくわえ、卵に何度も叩きつけて割り、中身を食べます。 この行動は、鳥類の中でも特に高度な知性を持つ例として知られています。
絶滅は危惧されている?
IUCNレッドリストでは EN (絶滅危惧) に分類されています。
個体数は世界中で急速に減少しており、深刻な状況です。主な原因は、家畜の治療に使われる医薬品(ジクロフェナクなど)が残る死骸を食べることによる中毒死、家畜を狙う捕食者駆除のための毒餌による二次被害、電線との衝突、そして人間による直接的な迫害など、多岐にわたります。
IUCNレッドリストとは、国際自然保護連合(IUCN)が作成している、世界で最も包括的な絶滅のおそれのある野生生物のリストです。正式名称は「The IUCN Red List of Threatened Species™」といいます。
IUCNレッドリストの分類
分類(英名) | 分類(和名) | 説明 |
---|---|---|
EX (Extinct) | 絶滅 | 最後の1個体が死亡したことが疑う余地のない種 |
EW (Extinct in the Wild) | 野生絶滅 | 本来の生息地では絶滅し、飼育下・栽培下でのみ生存している種 |
CR (Critically Endangered) | 深刻な危機 | ごく近い将来、野生での絶滅の危険性が極めて高い種 |
EN (Endangered) | 危機 | CRほどではないが、近い将来、野生での絶滅の危険性が高い種 |
VU (Vulnerable) | 危急 | 野生での絶滅の危険性が増大している種 |
NT (Near Threatened) | 準絶滅危惧 | 現時点では絶滅危惧ではないが、将来的に移行する可能性がある種 |
LC (Least Concern) | 低懸念 | 絶滅リスクが低く、保全上の懸念が少ない種 |
DD (Data Deficient) | 情報不足 | 評価するための情報が不足している種 |
NE (Not Evaluated) | 未評価 | まだ評価が行われていない種 |