ゴマバラワシ

ゴマバラワシ

英名:Martial Eagle

学名:Haliaeetus albicilla

分類:タカ目タカ科ゴマバラワシ属

本種のみでゴマバラワシ属 Polemaetus を形成する、アフリカ最大のワシです。英名の “Martial Eagle” の “Martial” は「軍神マルスの、好戦的な、勇ましい」を意味すると言われ、その力強さと猛々しさを表しています。和名の「ゴマバラ」は、腹部にある黒いゴマのような斑点に由来します。

目次

ゴマバラワシの特徴

どれくらいの大きさ?体の特徴は?

体長78-96cm、翼開長188-260cm。非常に大きく力強い体格をしています。

成鳥は背中、頭部、胸の上部が濃い褐色で、腹部は白地に黒い斑点が散らばっています。目は黄色で、鋭い眼光をしています。力強い脚には羽毛が生えています。

どこに生息している?

サハラ砂漠以南のアフリカ大陸に広く分布します。

サバンナ、開けた森林地帯、半砂漠など、見通しの良い広大な環境を好みます。非常に広い行動圏(テリトリー)を必要とします。

何を食べて生きているの?狩りの方法は?

アフリカのサバンナにおけるトップ捕食者の一種で、非常に多様な獲物を捕らえます。ホロホロチョウなどの鳥類、オオトカゲなどの爬虫類、そしてマングース、ケープハイラックス、小型のアンテロープ(ダイカーなど)の幼獣といった哺乳類まで、幅広い動物を襲います。

驚異的な視力を持ち、上空を高く飛翔しながら獲物を探すと言われています。獲物を見つけると、太陽を背にするなどして自身の影を隠しながら忍び寄り、急降下して強力な一撃で仕留めます。

絶滅は危惧されている?

IUCNレッドリストでは EN (絶滅危惧) に分類されています。

かつてはより広範囲に生息していましたが、個体数は急速に減少しています。主な原因は、人間による直接的な迫害です。家畜(ヤギやヒツジの子供など)を襲うと信じられているため、牧場主などによって射殺されたり、毒殺されたりすることが後を絶ちません。その他、生息地の喪失、電線との衝突、そして獲物となる野生動物の減少も深刻な脅威です。

IUCNレッドリストとは?

IUCNレッドリストとは、国際自然保護連合(IUCN)が作成している、世界で最も包括的な絶滅のおそれのある野生生物のリストです。正式名称は「The IUCN Red List of Threatened Species™」といいます。

IUCNレッドリストの分類
分類(英名)分類(和名)説明
EX (Extinct)絶滅最後の1個体が死亡したことが疑う余地のない種
EW (Extinct in the Wild)野生絶滅本来の生息地では絶滅し、飼育下・栽培下でのみ生存している種
CR (Critically Endangered)深刻な危機ごく近い将来、野生での絶滅の危険性が極めて高い種
EN (Endangered)危機CRほどではないが、近い将来、野生での絶滅の危険性が高い種
VU (Vulnerable)危急野生での絶滅の危険性が増大している種
NT (Near Threatened)準絶滅危惧現時点では絶滅危惧ではないが、将来的に移行する可能性がある種
LC (Least Concern)低懸念絶滅リスクが低く、保全上の懸念が少ない種
DD (Data Deficient)情報不足評価するための情報が不足している種
NE (Not Evaluated)未評価まだ評価が行われていない種

出典

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