
カンムリワシ
英名:Crested Serpent Eagle
学名:Spilornis cheela
分類:タカ目タカ科カンムリワシ属
名前の通り、ヘビやトカゲなどの爬虫類を専門に捕食するワシタカ類です。興奮すると後頭部の冠羽が扇のように広がることから「冠鷲」の名が付きました。
カンムリワシの特徴
どれくらいの大きさ?体の特徴は?
体長51-71cm、翼開長109-155cm。
全体的に濃い褐色で、腹部には白い斑点が散らばっています。翼の下面と尾には、白く太い帯模様があり、飛んでいる時によく目立ちます。顔の裸出した皮膚と足は黄色です。後頭部には白と黒のまだら模様の冠羽があります。
どこに生息している?
インド、スリランカから東南アジア、中国南部、そして日本の南西諸島まで、アジアに広く分布します。
森林、マングローブ林、農耕地が混在するような環境を好みます。日本では、亜種のカンムリワシ (S. c. perplexus) が沖縄県の八重山諸島(石垣島、西表島など)にのみ留鳥として生息しています。
何を食べて生きているの?狩りの方法は?
主にヘビ、トカゲ、カエルなどの爬虫類・両生類を捕食します。カニや昆虫、小型の鳥類や哺乳類を食べることもあります。
森林の縁や農耕地を見渡せる電柱や木の枝に長時間とまり、地上を移動する獲物を探します。獲物を見つけると、素早く舞い降りて強力な足で押さえつけて捕らえます。足の裏のウロコは、ヘビの牙から身を守るのに役立っていると考えられています。
絶滅は危惧されている?
種全体としては、分布が非常に広いためIUCNレッドリストでは LC (低懸念) とされています。しかし、日本の八重山諸島に生息する亜種カンムリワシは、生息地の開発や、餌となる生物の減少、そして交通事故などにより個体数が減少し、絶滅危惧IA類(CR)に指定されています。国の特別天然記念物にも指定されており、ロードキルを防ぐための標識設置や、傷ついた個体の保護活動が続けられています。
IUCNレッドリストとは、国際自然保護連合(IUCN)が作成している、世界で最も包括的な絶滅のおそれのある野生生物のリストです。正式名称は「The IUCN Red List of Threatened Species™」といいます。
IUCNレッドリストの分類
分類(英名) | 分類(和名) | 説明 |
---|---|---|
EX (Extinct) | 絶滅 | 最後の1個体が死亡したことが疑う余地のない種 |
EW (Extinct in the Wild) | 野生絶滅 | 本来の生息地では絶滅し、飼育下・栽培下でのみ生存している種 |
CR (Critically Endangered) | 深刻な危機 | ごく近い将来、野生での絶滅の危険性が極めて高い種 |
EN (Endangered) | 危機 | CRほどではないが、近い将来、野生での絶滅の危険性が高い種 |
VU (Vulnerable) | 危急 | 野生での絶滅の危険性が増大している種 |
NT (Near Threatened) | 準絶滅危惧 | 現時点では絶滅危惧ではないが、将来的に移行する可能性がある種 |
LC (Least Concern) | 低懸念 | 絶滅リスクが低く、保全上の懸念が少ない種 |
DD (Data Deficient) | 情報不足 | 評価するための情報が不足している種 |
NE (Not Evaluated) | 未評価 | まだ評価が行われていない種 |