
シロハヤブサ
英名:Gyrfalcon
学名:Falco rusticolus
分類:ハヤブサ目ハヤブサ科ハヤブサ属
世界最大のハヤブサであり、北極圏の生態系の頂点に立つ捕食者です。中世ヨーロッパや中東の王侯貴族の間で、鷹狩りに用いられる鳥として最高のステータスを持ち、非常に高価に取引されました。その威厳と狩りの能力は、今日でも世界中の鷹匠の憧れの的となっています。日本では、ごく稀な冬鳥として、北海道などで記録されることがあります。
シロハヤブサの特徴
どれくらいの大きさ?体の特徴は?
体長48-65cm、翼開長110-160cm。ハヤブサよりも大きく、がっしりとした体格をしています。
羽の色には、白色型、灰色型、黒色型といった個体が存在しています。白色型はグリーンランドなどの高緯度地域に多く、ほぼ純白の体に黒い斑点がわずかに入る姿をしています。灰色型と黒色型は、より南の地域に多く、全体的に灰色や黒褐色で、白い横斑が入ります。
共通して、翼は一般的なハヤブサよりも幅広く、先端がやや丸みを帯びています。
どこに生息している?
北アメリカ、グリーンランド、そしてユーラシア大陸の北極圏および亜寒帯地方(ツンドラやタイガ地帯)で繁殖します。
樹木のない広大なツンドラ、岩の多い海岸線、山岳地帯などに生息します。営巣には、外敵から巣を守ることができる断崖の岩棚を利用することが多いです。
何を食べて生きているの?狩りの方法は?
主にライチョウ類(特にライチョウやヤナギライチョウ)や、カモなどの鳥類、そしてホッキョクウサギやレミングなどの哺乳類を捕食します。
ハヤブサのような高速の急降下も行いますが、それ以上に、力強く直線的な水平飛行で獲物を執拗に追い詰める狩りを得意とします。そのスピードとパワーで、獲物が茂みや地面に逃げ込むまで長距離を追跡します。
絶滅は危惧されている?
IUCNレッドリストでは LC (低懸念) に分類されています。
生息地が人里離れているため、人間との直接的な軋轢は少ないですが、気候変動による北極圏の生態系への影響が将来的な最大の懸念材料です。
IUCNレッドリストとは、国際自然保護連合(IUCN)が作成している、世界で最も包括的な絶滅のおそれのある野生生物のリストです。正式名称は「The IUCN Red List of Threatened Species™」といいます。
IUCNレッドリストの分類
分類(英名) | 分類(和名) | 説明 |
---|---|---|
EX (Extinct) | 絶滅 | 最後の1個体が死亡したことが疑う余地のない種 |
EW (Extinct in the Wild) | 野生絶滅 | 本来の生息地では絶滅し、飼育下・栽培下でのみ生存している種 |
CR (Critically Endangered) | 深刻な危機 | ごく近い将来、野生での絶滅の危険性が極めて高い種 |
EN (Endangered) | 危機 | CRほどではないが、近い将来、野生での絶滅の危険性が高い種 |
VU (Vulnerable) | 危急 | 野生での絶滅の危険性が増大している種 |
NT (Near Threatened) | 準絶滅危惧 | 現時点では絶滅危惧ではないが、将来的に移行する可能性がある種 |
LC (Least Concern) | 低懸念 | 絶滅リスクが低く、保全上の懸念が少ない種 |
DD (Data Deficient) | 情報不足 | 評価するための情報が不足している種 |
NE (Not Evaluated) | 未評価 | まだ評価が行われていない種 |