フクロウの仲間の中でも、ひときわ個性的な、真っ白なハート型の顔を持つメンフクロウ。その姿は、一度見たら忘れられないほどのインパクトがありますよね。しかし、あの特徴的な顔は、単なる飾りではありません。
実は、あのハート型の顔は、完全な暗闇の中でも獲物の位置を正確に特定するための、超高性能な「パラボラアンテナ」なのです。この記事では、メンフクロウの顔に隠された、驚くべき集音能力の秘密に迫ります。

そもそもメンフクロウとはどんな鳥?という方は先にこちらから読むのがおすすめです。
ハート型の顔の正体は「顔盤(がんばん)」
メンフクロウの顔を形作っている、硬くて密集した羽毛でできたお皿のような部分を、専門用語で「顔盤(がんばん)」と呼びます。
この顔盤は、フクロウ類の多くが持っていますが、特にメンフクロウのものは大きく、ハート型がはっきりしているのが特徴です。この顔盤こそが、彼らの驚異的な聴覚の鍵を握っています。
顔盤が持つ「パラボラアンテナ」の役割
メンフクロウの顔盤は、音を効率的に集めるための、2つの優れた機能を持っています。
音を「集めて増幅」する機能
顔盤を構成する硬い羽毛は、周囲の微かな物音を反射させ、顔の中心にある耳へと音波を導く役割を果たします。これは、衛星放送の受信アンテナ(パラボラアンテナ)が、宇宙からの微弱な電波を集めるのと同じ原理です。
この機能により、メンフクロウは、雪の下や草むらでネズミが立てる「カサカサ」というごく僅かな音を、数倍にも増幅して聞くことができるのです。
音源の位置を「特定」する機能
さらに驚くべきは、彼らの左右の耳の位置が、実は上下にずれていることです。
- 左耳は、右耳よりも少し高い位置にあります。
顔盤によって集められた音は、この左右非対称な耳に、ごく僅かな時間差と音量差で届きます。メンフクロウの脳は、この左右の耳から入ってくる音のズレを瞬時に計算することで、獲物がいる方向(左右)と、高さ(上下)を、驚くほど正確に特定できるのです。
これにより、彼らは視覚が全く効かない、完全な暗闇の中でも、獲物の三次元的な位置を正確に把握し、狩りを成功させることができます。
まとめ:ハート形の顔は集音デバイス
メンフクロウのハート型の顔は、ただ美しいだけでなく、夜の捕食者として生き抜くために、進化の過程で磨き上げられた、ハンティング用の集音デバイスだったのです。
- ハート型の顔盤が、パラボラアンテナのように音を集め、
- 左右非対称な耳が、音の立体的な位置を特定する。
この2つの機能が組み合わさることで、彼らは夜の捕食者としての地位を確立しています。