
クロムネトビ
英名:Black-breasted Buzzard
学名:Hamirostra melanosternon
分類:タカ目タカ科クロムネトビ属
オーストラリアのみに生息する非常に珍しい種であり、茶色と黒の羽を持つ猛禽類です。他の鳥類の卵を捕食することで知られており、その補色方法は卵に石を投げて割る、高いところから落とすなど、知能の高さが特徴の種でもあります。
クロムネトビの特徴
どれくらいの大きさ?体の特徴は?
体長51-61cm、翼開長147-156cm。
全体的にがっしりとした体格で、頭部、胸、背中が黒く、翼には赤みがかった褐色の模様があります。飛んでいる時には、翼の先端近くに白い「窓」が見えるのが特徴です。嘴は比較的大きく、力強い印象を与えます。
どこに生息している?
オーストラリア大陸の内陸部を中心に、広く分布します。
樹木が点在する乾燥した草原や、低木林、川沿いの林などを好みます。
何を食べて生きているの?狩りの方法は?
ウサギなどの小動物、トカゲなどの爬虫類、鳥類、そして動物の死骸など、非常に多様なものを食べます。
また、鳥の巣を襲って他の鳥類の卵や雛を食べることもあります。卵を食べるため、口に石をくわえて運んで卵に投げつけたり、落としたりして、硬い殻を割るという高い知能を持っています。 この行動は、エジプトハゲワシと並ぶ、鳥類の道具使用の顕著な例です。
絶滅は危惧されている?
IUCNレッドリストでは LC (低懸念) に分類されています。
全体的な個体数は安定していますが、オーストラリア南部の一部の地域では、生息地の開墾や、獲物であるウサギの個体数減少(人間が導入した病気による)などにより、数が減っています。そのユニークな行動は、鳥類の知性を研究する上で非常に重要な示唆を与えています。
IUCNレッドリストとは、国際自然保護連合(IUCN)が作成している、世界で最も包括的な絶滅のおそれのある野生生物のリストです。正式名称は「The IUCN Red List of Threatened Species™」といいます。
IUCNレッドリストの分類
| 分類(英名) | 分類(和名) | 説明 |
|---|---|---|
| EX (Extinct) | 絶滅 | 最後の1個体が死亡したことが疑う余地のない種 |
| EW (Extinct in the Wild) | 野生絶滅 | 本来の生息地では絶滅し、飼育下・栽培下でのみ生存している種 |
| CR (Critically Endangered) | 深刻な危機 | ごく近い将来、野生での絶滅の危険性が極めて高い種 |
| EN (Endangered) | 危機 | CRほどではないが、近い将来、野生での絶滅の危険性が高い種 |
| VU (Vulnerable) | 危急 | 野生での絶滅の危険性が増大している種 |
| NT (Near Threatened) | 準絶滅危惧 | 現時点では絶滅危惧ではないが、将来的に移行する可能性がある種 |
| LC (Least Concern) | 低懸念 | 絶滅リスクが低く、保全上の懸念が少ない種 |
| DD (Data Deficient) | 情報不足 | 評価するための情報が不足している種 |
| NE (Not Evaluated) | 未評価 | まだ評価が行われていない種 |
