
クマタカ
英名:Mountain Hawk-Eagle
学名:Nisaetus nipalensis
分類:タカ目タカ科クマタカ属
日本の森林生態系の頂点に立つ、大型で力強い猛禽類です。学名のNisaetus はクマタカ属であることを示し、 nipalensis は「ネパールの」を意味します。その威厳ある姿から「森の王者」とも呼ばれます。
クマタカの特徴
どれくらいの大きさ?体の特徴は?
体長69-84cm、翼開長134-175cm。メスがオスよりもかなり大きくなります。
成鳥は頭部に黒と白のまだら模様の短い冠羽があり、背中は暗褐色です。腹部は白っぽく、胸から腹にかけて黒い縦斑があります。翼は幅が広く、先端が丸みを帯びており、森林の上昇気流に乗って帆翔するのに適しています。若鳥は成鳥と異なり、頭部から腹部にかけてが淡い黄白色をしています。
どこに生息している?
ヒマラヤ地方から東南アジア、中国、台湾、そして日本にかけて分布します。日本では、九州から北海道までの山地に留鳥として生息します。
広葉樹林や針葉樹林など、広大で成熟した森林を主な生息地とします。非常に広い行動圏(テリトリー)を必要とし、一組のペアが数十平方キロメートルもの森林を利用します。
何を食べて生きているの?狩りの方法は?
主に中型の哺乳類(ノウサギ、テン、リスなど)や鳥類(ヤマドリ、キジバトなど)を捕食します。時にはヘビなどの爬虫類を捕らえることもあります。
森林の上空を帆翔しながら獲物を探したり、木の枝に静かに止まって待ち伏せたりします。獲物を見つけると、翼を巧みに使って林の中をすり抜け、驚異的なスピードで急降下して、強力な足で一撃のもとに仕留めます。
絶滅は危惧されている?
IUCNレッドリストでは LC (低懸念) とされていますが、これは広範囲に分布する種全体での評価です。
日本では、森林伐採による営巣・狩猟環境の悪化により、個体数が著しく減少しています。繁殖率が低く、一度環境が破壊されると回復が困難なため、絶滅危惧IB類(EN)に指定されています。クマタカの生息は、その森が豊かで健全であることの指標(インジケータ種)とされ、その保護は森林生態系全体の保全に繋がります。
IUCNレッドリストとは、国際自然保護連合(IUCN)が作成している、世界で最も包括的な絶滅のおそれのある野生生物のリストです。正式名称は「The IUCN Red List of Threatened Species™」といいます。
IUCNレッドリストの分類
分類(英名) | 分類(和名) | 説明 |
---|---|---|
EX (Extinct) | 絶滅 | 最後の1個体が死亡したことが疑う余地のない種 |
EW (Extinct in the Wild) | 野生絶滅 | 本来の生息地では絶滅し、飼育下・栽培下でのみ生存している種 |
CR (Critically Endangered) | 深刻な危機 | ごく近い将来、野生での絶滅の危険性が極めて高い種 |
EN (Endangered) | 危機 | CRほどではないが、近い将来、野生での絶滅の危険性が高い種 |
VU (Vulnerable) | 危急 | 野生での絶滅の危険性が増大している種 |
NT (Near Threatened) | 準絶滅危惧 | 現時点では絶滅危惧ではないが、将来的に移行する可能性がある種 |
LC (Least Concern) | 低懸念 | 絶滅リスクが低く、保全上の懸念が少ない種 |
DD (Data Deficient) | 情報不足 | 評価するための情報が不足している種 |
NE (Not Evaluated) | 未評価 | まだ評価が行われていない種 |