なぜ鳥は「渡り」をするのか?数千キロも旅する3つの理由

秋になると南へ向かい、春になると再び帰ってくる渡り鳥たち。ハクトウワシやサシバのように、多くの猛禽類もまた、季節ごとに数千キロもの大移動を行います。しかし、なぜ彼らはそれほどまでの危険を冒して、長大な旅を続けるのでしょうか?「南の暖かい場所の方が暮らしやすいのでは?」と思ってしまいそうなものです。

この記事では、そんな鳥たちの「渡り」という不思議な行動がなぜ行われているかを解説していきます。

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渡りの理由①:ライバルの少ない「楽園」を求めるため

一年中暖かく、食べ物が豊富な熱帯・亜熱帯地方(南の国々)は、一見すると鳥たちにとって最高の楽園に思えます。しかし、そこは非常に競争の激しい場所でもあります。

多くの鳥たちが留鳥として一年中暮らしているため、巣を作るための良い場所や、餌場は常に奪い合いの状態です。冬の間だけ滞在するのは良くても、そこで子育てをして子孫を残すとなると、激しい生存競争に勝たなければなりません。

そこで渡り鳥たちは、あえて夏の間だけ、競争相手の少ない北の土地を目指すと考えられています。

渡りの理由②:北の夏は「子育て天国」だから

競争を避けてたどり着いた北の土地は、短い夏の間、鳥たちにとって子育てに最適な「ボーナスステージ」に変わります。

豊富な食べ物

北国の夏は、昆虫や植物が一斉に活動を始め、魚たちは産卵のために川を遡上します。これにより、一時的ですが、爆発的な量の食べ物が溢れかえるのです。これは、常に餌を欲しがる育ち盛りのヒナたちを育てる上で、最高の環境です。

長い昼の時間

アラスカなどの高緯度地域では、夏の間は一日中太陽が沈まない「白夜」になります。これは、親鳥がヒナのために狩りをする時間が、ほぼ24時間あることを意味します。獲物を見つけやすい明るい時間が長いほど、子育ての成功率は格段に上がります。

渡りの理由:「故郷」へ帰る強力な本能

多くの渡り鳥には、自分が生まれた場所や、過去に子育てに成功した安全な場所を記憶し、そこに戻ってくる「帰巣本能」が、遺伝子レベルで組み込まれています。

彼らにとって、慣れ親しんだ北の繁殖地は、ライバルも少なく、どこに良い餌場があり、どこに巣を作れば安全かを知り尽くした、理想の居住地となるのです。

まとめ:季節ごとの「良いとこ取り」戦略

鳥たちの「渡り」という行動をまとめると、

  • 冬は、競争の激しい南で、なんとか越冬する。
  • そして、子育てに最高の環境が整う春になったら、ライバルの少ない安全な故郷(北)に帰り、安心して子供を育てる。

という、子孫繁栄のための、非常に合理的で賢い「良いとこ取り」の生存戦略なのです。

出典

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