アンデスコンドル

アンデスコンドル

英名:Andean Condor

学名:Vultur gryphus

分類:コンドル目コンドル科コンドル属

一般的に「コンドル」と呼ばれる代表的な種であり、体重と翼開長を総合すると世界最大級の飛行可能な鳥です。
古代インカ帝国をはじめとするアンデス文明において、天界と地上を結ぶ神聖な使者、あるいは太陽神の化身として崇拝されてきました。ペルー、ボリビア、チリ、コロンビアなどの国々で国鳥に指定されており、アンデス地方の文化と自然を象徴する存在です。

目次

アンデスコンドルの特徴

どれくらいの大きさ?体の特徴は?

体長100-130cm、翼開長は270-320cmに達します。

全体的に光沢のある黒い羽毛で、翼の上面には大きな白い模様があります。首の付け根には白い羽毛の襟巻きがあります。頭部と首は羽毛がなく、ピンクがかった皮膚が裸出しており、これは死肉を食べる際の衛生面に役立っていると考えられています。オスは頭頂部に「肉冠」と呼ばれる大きな肉質のトサカを持つことで、メスと容易に区別できます。

どこに生息している?

南米大陸のアンデス山脈に沿って、ベネズエラからティエラ・デル・フエゴ諸島まで分布します。

主に標高3,000~5,000メートルの高山地帯に生息し、開けた草原や岩場を好みます。上昇気流を捉えて効率的に飛行するために、風の強い山岳環境が不可欠です。営巣やねぐらには、断崖の岩棚や洞窟を利用します。

何を食べて生きているの?狩りの方法は?

専門的なスカベンジャー(腐肉食者)で、リャマ、アルパカ、ウシ、シカなど、大型動物の死骸を主食とします。彼らの強力な嘴は、硬い皮膚を引き裂くのに適しています。

非常に長寿で、飼育下では70年以上生きることもあります。繁殖ペースは非常に遅く、2年に1度、1つの卵しか産みません。一日の大半を、ほとんど羽ばたくことなく上昇気流に乗って滑空し、広大な範囲をパトロールして餌を探します。

絶滅は危惧されている?

IUCNレッドリストでは VU (危急) に分類されています。

主な脅威は、家畜を襲うと誤解されての人間による迫害や、鉛中毒(狩猟で使われた鉛弾が残る死骸を食べることによる)、生息地の喪失などです。繁殖率が低いため、一度個体数が減少すると回復が非常に困難です。

IUCNレッドリストとは?

IUCNレッドリストとは、国際自然保護連合(IUCN)が作成している、世界で最も包括的な絶滅のおそれのある野生生物のリストです。正式名称は「The IUCN Red List of Threatened Species™」といいます。

IUCNレッドリストの分類
分類(英名)分類(和名)説明
EX (Extinct)絶滅最後の1個体が死亡したことが疑う余地のない種
EW (Extinct in the Wild)野生絶滅本来の生息地では絶滅し、飼育下・栽培下でのみ生存している種
CR (Critically Endangered)深刻な危機ごく近い将来、野生での絶滅の危険性が極めて高い種
EN (Endangered)危機CRほどではないが、近い将来、野生での絶滅の危険性が高い種
VU (Vulnerable)危急野生での絶滅の危険性が増大している種
NT (Near Threatened)準絶滅危惧現時点では絶滅危惧ではないが、将来的に移行する可能性がある種
LC (Least Concern)低懸念絶滅リスクが低く、保全上の懸念が少ない種
DD (Data Deficient)情報不足評価するための情報が不足している種
NE (Not Evaluated)未評価まだ評価が行われていない種

出典

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