トキイロコンドル

トキイロコンドル

英名:King Vulture

学名:Sarcoramphus papa

分類:コンドル目コンドル科トキイロコンドル属

中南米に生息する、非常に色彩豊かなコンドルの仲間です。属名の Sarcoramphus は古代ギリシャ語で「肉の嘴」を意味し、その食性を表しています。
古代マヤ文明の絵文書(コデックス)にも描かれており、神と人間とを繋ぐメッセンジャーとしての役割を持つ、重要な鳥であったと考えられています。

目次

トキイロコンドルの特徴

どれくらいの大きさ?体の特徴は?

体長71-81cm、翼開長170-200cm。

成鳥の羽毛は、首の後ろと翼の先端、尾羽を除いて、ほとんどがクリーム色がかった白色です。最大の特徴は、羽毛がなく裸出した頭部と首の、極めて鮮やかで複雑な色彩です。皮膚は赤、オレンジ、黄色、紫、青など様々な色合いを見せ、オスは嘴の付け根に黄オレンジ色の目立つ肉質のコブを持ちます。このカラフルな頭部は、他のどの鳥にも見られないユニークな特徴です。

どこに生息している?

メキシコ南部から中央アメリカ、南アメリカのアルゼンチン北部にかけての、広大な熱帯低地林に分布します。

主に標高1,500メートル以下の、湿度の高い原生的な熱帯雨林に生息します。餌を探すためには、森林の上空や、川沿いなどの開けた場所を利用します。

何を食べて生きているの?狩りの方法は?

専門的なスカベンジャー(腐肉食者)で、森林内に存在する様々な動物の死骸を食べます。

多くのコンドル類と異なり、嗅覚はあまり発達していないと考えられています。そのため、餌となる死骸を自力で見つけるのではなく、嗅覚の優れた他のハゲワシ(ヒメコンドルなど)の群れが死骸を見つけるのを上空から監視し、彼らが集まった場所に後から降り立ちます。体が大きく嘴も強力なため、餌場では優位に立ち、他のハゲワシが食べられない硬い皮膚などを引き裂いて、最初に餌にありつくことができます。

絶滅は危惧されている?

IUCNレッドリストでは LC (低懸念) に分類されています。

分布域が広く、現在のところ個体数は安定していると考えられています。しかし、他の多くの熱帯雨林の生物と同様に、生息地である森林の減少が将来的な脅威となる可能性があります。

IUCNレッドリストとは?

IUCNレッドリストとは、国際自然保護連合(IUCN)が作成している、世界で最も包括的な絶滅のおそれのある野生生物のリストです。正式名称は「The IUCN Red List of Threatened Species™」といいます。

IUCNレッドリストの分類
分類(英名)分類(和名)説明
EX (Extinct)絶滅最後の1個体が死亡したことが疑う余地のない種
EW (Extinct in the Wild)野生絶滅本来の生息地では絶滅し、飼育下・栽培下でのみ生存している種
CR (Critically Endangered)深刻な危機ごく近い将来、野生での絶滅の危険性が極めて高い種
EN (Endangered)危機CRほどではないが、近い将来、野生での絶滅の危険性が高い種
VU (Vulnerable)危急野生での絶滅の危険性が増大している種
NT (Near Threatened)準絶滅危惧現時点では絶滅危惧ではないが、将来的に移行する可能性がある種
LC (Least Concern)低懸念絶滅リスクが低く、保全上の懸念が少ない種
DD (Data Deficient)情報不足評価するための情報が不足している種
NE (Not Evaluated)未評価まだ評価が行われていない種

出典

目次