ハクトウワシ

ハクトウワシ

英名:Bald Eagle

学名:Haliaeetus leucocephalus

分類:タカ目タカ科ウミワシ属

学名にある Haliaeetus は古代ギリシャ語で「海のワシ」を意味します。種小名の leucocephalus は「白い頭」を意味し、その名の通りの特徴を表しています。
1782年にアメリカ合衆国の国璽(こくじ)に採用され、2024年には正式にアメリカの国鳥に制定されました。自由と力の象徴として国章や通貨などのデザインに用いられています。

目次

ハクトウワシの特徴

どれくらいの大きさ?体の特徴は?

体長70-80cm、翼開長180-230cm。猛禽類の中でもかなり大型の鷲です。

成鳥は、濃い茶色の胴体に、白く明瞭な頭部と尾、そして黄色く鋭い嘴と足を持ちます。この象徴的な姿になるまでには約5年を要し、若鳥の頃は全体が暗い褐色で、オジロワシイヌワシの若鳥と見間違えられることもあります。

ハクトウワシの幼鳥
Photo by Michael Gäbler / CC BY 3.0

どこに生息している?

北アメリカ大陸(アメリカ合衆国、カナダ、メキシコ北部)に広く分布します。

主に海岸、河川、湖沼など、豊富な魚類が生息する水辺の近くに生息し、周囲を見渡せる大きく頑丈な樹木に巣を作ります。彼らが作る巣は鳥類の中でも最大級で、長年同じ巣を修復・増築し続けるため、直径2.5メートル、重さ1トンを超えることもあります。

何を食べて生きているの?狩りの方法は?

食性の大部分を魚類が占めます。サケ、マス、ニシンなどを主な獲物とします。しかし、非常に機会選択的な捕食者でもあり、水鳥、小型哺乳類(ウサギ、リスなど)、カメ、そして動物の死骸(腐肉)も食べます。

水面近くを飛翔し、獲物を見つけると鋭い爪で素早く掴み取ります。また、ミサゴなどの他の鳥が捕らえた獲物を、空中での追跡によって執拗に奪い取る行動も頻繁に見られます。

絶滅は危惧されている?

UCNレッドリストでは LC (低懸念) に分類されています。

ハヤブサと同様、20世紀半ばに農薬DDTの影響で個体数が激減し、アメリカ合衆国では絶滅の危機に瀕しました。しかし、1972年のDDT使用禁止、法的な保護、そして献身的な保全活動により、その個体数は目覚ましく回復しました。この成功は、アメリカにおける野生生物保護の象徴的な事例とされています。

IUCNレッドリストとは?

IUCNレッドリストとは、国際自然保護連合(IUCN)が作成している、世界で最も包括的な絶滅のおそれのある野生生物のリストです。正式名称は「The IUCN Red List of Threatened Species™」といいます。

IUCNレッドリストの分類
分類(英名)分類(和名)説明
EX (Extinct)絶滅最後の1個体が死亡したことが疑う余地のない種
EW (Extinct in the Wild)野生絶滅本来の生息地では絶滅し、飼育下・栽培下でのみ生存している種
CR (Critically Endangered)深刻な危機ごく近い将来、野生での絶滅の危険性が極めて高い種
EN (Endangered)危機CRほどではないが、近い将来、野生での絶滅の危険性が高い種
VU (Vulnerable)危急野生での絶滅の危険性が増大している種
NT (Near Threatened)準絶滅危惧現時点では絶滅危惧ではないが、将来的に移行する可能性がある種
LC (Least Concern)低懸念絶滅リスクが低く、保全上の懸念が少ない種
DD (Data Deficient)情報不足評価するための情報が不足している種
NE (Not Evaluated)未評価まだ評価が行われていない種

出典

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