
ダルマワシ
英名:Bateleur
学名:Terathopius ecaudatus
分類:タカ目タカ科ダルマワシ属
非常にユニークな種で、本種のみでダルマワシ属 Terathopius を形成します。種小名の ecaudatus はラテン語で「尾がない」を意味し、極端に短い尾という本種の特徴を表しています。
その印象的な姿から、アフリカの神話や信仰において重要な役割を果たしてきました。幸運をもたらす鳥、あるいは未来を予知する鳥として信じられている地域もあります。
ダルマワシの特徴
どれくらいの大きさ?体の特徴は?
体長55-70cm、翼開長168-190cm。
成鳥は黒い胴体に、灰色がかった肩羽、そして鮮やかな赤褐色の背中を持ち、非常にカラフルで印象的です。顔の裸出した皮膚と脚は鮮やかな赤色で、翼の下面は白く、縁が黒いのが特徴です。最大の特徴である短い尾は、飛行時にはほとんど脚に隠れて見えません。雌雄は似ていますが、メスは翼の下面の黒い縁がオスより細い傾向があります。
どこに生息している?
サハラ砂漠以南のアフリカ大陸に広く分布します。
開けたサバンナや、アカシアなどが点在する低木林を好みます。一日の大半を飛行して過ごすため、広大なオープンランドが不可欠です。
何を食べて生きているの?狩りの方法は?
食性は非常に多様で、主に動物の死骸(腐肉)を食べますが、ヘビ、トカゲなどの爬虫類や、小型の哺乳類、鳥類も積極的に狩ります。
一日のうち7~8時間、時速50~80kmほどの低空を滑るように飛行し続け、広大な範囲をパトロールして餌を探します。その一日の飛行距離は300~500kmにも及ぶと言われています。優れた視力で獲物や死骸を見つけると、素早く降下します。
絶滅は危惧されている?
IUCNレッドリストでは EN (絶滅危惧) に分類されています。
かつてはアフリカでよく見られる猛禽類でしたが、近年その個体数は急速に減少しています。主な原因は、生息地であるサバンナの農地への転換、毒入りの餌(家畜を狙う肉食獣を駆除するためのもの)による二次被害、電線との衝突、そして人間による攪乱など、複合的なものです。
IUCNレッドリストとは、国際自然保護連合(IUCN)が作成している、世界で最も包括的な絶滅のおそれのある野生生物のリストです。正式名称は「The IUCN Red List of Threatened Species™」といいます。
IUCNレッドリストの分類
分類(英名) | 分類(和名) | 説明 |
---|---|---|
EX (Extinct) | 絶滅 | 最後の1個体が死亡したことが疑う余地のない種 |
EW (Extinct in the Wild) | 野生絶滅 | 本来の生息地では絶滅し、飼育下・栽培下でのみ生存している種 |
CR (Critically Endangered) | 深刻な危機 | ごく近い将来、野生での絶滅の危険性が極めて高い種 |
EN (Endangered) | 危機 | CRほどではないが、近い将来、野生での絶滅の危険性が高い種 |
VU (Vulnerable) | 危急 | 野生での絶滅の危険性が増大している種 |
NT (Near Threatened) | 準絶滅危惧 | 現時点では絶滅危惧ではないが、将来的に移行する可能性がある種 |
LC (Least Concern) | 低懸念 | 絶滅リスクが低く、保全上の懸念が少ない種 |
DD (Data Deficient) | 情報不足 | 評価するための情報が不足している種 |
NE (Not Evaluated) | 未評価 | まだ評価が行われていない種 |