クロハゲワシ

クロハゲワシ

英名:Cinereous Vulture

学名:Aegypius monachus

分類:タカ目タカ科クロハゲワシ属

ハゲワシ類の中でも最大級の種族。本種のみでクロハゲワシ属を構成します。
全体的に黒褐色の羽毛で覆われており、名前の通り頭部には羽毛が少なく、青みがかった皮膚が裸出しているのが特徴です。首の周りには襟巻きのようなフサフサした羽毛が生えています。

目次

クロハゲワシの特徴

どれくらいの大きさ?体の特徴は?

体長は約100〜110cm、翼開長は約250〜290cm の超大型の猛禽類であり、日本で見られる猛禽類で最大級になります。

全体的に黒褐色の羽毛で覆われており、名前の通り頭部には羽毛が少なく、青みがかった皮膚が裸出しているのが特徴です。首の周りには襟巻きのようなフサフサした羽毛が生えています。非常に大きな翼を活用して、上昇気流を利用して長時間、ほとんど羽ばたかずに空を滑空(ソアリング)することができます。

どこに生息している?

ヨーロッパ南部(スペインなど)から中央アジア(モンゴルなど)、中国東北部にかけての広大な範囲に分布しています。

主に、見通しの良い乾燥した草原や、標高の高い山岳地帯の森林限界付近に生息します。基本的には留鳥(一年中同じ場所に生息する)ですが、北方の個体群は冬になると南へ渡りをすることがあり、日本でも迷鳥として、非常に稀ではありますが主に冬に北海道から沖縄まで各地で記録があります。

何を食べて生きているの?狩りの方法は?

クロハゲワシは自ら狩りを行うことはほとんどなく、動物の死骸を食べる典型的なスカベンジャー(腐肉食者)です。巨大な羽で上空を滑空し、優れた視力で死骸を探し出し獲物にありつきます。

ハゲワシなど他の腐肉食者が内蔵や柔らかい肉を食べた後、残った皮膚や腱(けん)といった硬い部分を引きちぎって食べることが多く、時には骨を砕いて食べることもあります。

絶滅は危惧されている?

IUCNレッドリストでは NT(準絶滅危惧) に分類されています。

家畜を襲いオオカミなどの駆除のための毒餌を意図せず食べてしまったり、野生のヤギや羊などの減少に伴いそれらの死骸も不足していることなどが原因とされています。

IUCNレッドリストとは?

IUCNレッドリストとは、国際自然保護連合(IUCN)が作成している、世界で最も包括的な絶滅のおそれのある野生生物のリストです。正式名称は「The IUCN Red List of Threatened Species™」といいます。

IUCNレッドリストの分類
分類(英名)分類(和名)説明
EX (Extinct)絶滅最後の1個体が死亡したことが疑う余地のない種
EW (Extinct in the Wild)野生絶滅本来の生息地では絶滅し、飼育下・栽培下でのみ生存している種
CR (Critically Endangered)深刻な危機ごく近い将来、野生での絶滅の危険性が極めて高い種
EN (Endangered)危機CRほどではないが、近い将来、野生での絶滅の危険性が高い種
VU (Vulnerable)危急野生での絶滅の危険性が増大している種
NT (Near Threatened)準絶滅危惧現時点では絶滅危惧ではないが、将来的に移行する可能性がある種
LC (Least Concern)低懸念絶滅リスクが低く、保全上の懸念が少ない種
DD (Data Deficient)情報不足評価するための情報が不足している種
NE (Not Evaluated)未評価まだ評価が行われていない種

出典

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