
アメリカチョウゲンボウ
英名:American Kestrel
学名:Falco sparverius
分類:ハヤブサ目ハヤブサ科ハヤブサ属
北米で最も小さく、最も一般的に見られるハヤブサです。種小名の sparverius はラテン語で「スズメの」を意味し、その体の小ささを表しています。小さく美しい姿と、その生態から人々に親しまれており、一般家庭でのペット飼育にも向いている一種でもあります。
アメリカチョウゲンボウの特徴
どれくらいの大きさ?体の特徴は?
体長22-31cm、翼開長51-61cm。ハトよりも小さい、小柄な猛禽類です。
雄雌で羽の色が異なる「性的二色」が非常に顕著です。オスは青灰色の翼と赤褐色の背中、そして頭頂部を持ち、カラフルで美しい姿をしています。一方、メスは全体的に赤褐色で、黒い横縞模様があります。雄雌ともに、顔には黒い「ヒゲ」模様が2本あるのが特徴です。
どこに生息している?
アラスカから南米大陸南端のティエラ・デル・フエゴまで、南北アメリカ大陸に非常に広く分布しています。
農耕地、牧草地、公園、砂漠、都市郊外など、樹木が点在する開けた環境を好みます。獲物を探しやすく、また営巣に適した樹洞や建物の隙間がある場所が必要です。
何を食べて生きているの?狩りの方法は?
主にバッタ、トンボ、セミなどの大型昆虫を食べますが、トカゲ、ネズミなどの小型哺乳類、小型の鳥類も捕食します。
開けた場所の上空で、風に向かって羽ばたきながら空中に留まる「ホバリング(停空飛翔)」を得意とします。一点に留まりながら地上を観察し、獲物を見つけると素早く降下して捕らえます。電線や木の枝など、見晴らしの良い場所から直接獲物に飛びかかることもあります。
絶滅は危惧されている?
IUCNレッドリストでは LC (低懸念) に分類されています。
全体としては個体数が多いですが、北米の個体群は1960年代から継続的に減少傾向にあることが報告されています。生息地である農耕地の集約化による獲物や巣場所の減少、殺虫剤の使用などが原因と考えられており、将来が懸念されています。
IUCNレッドリストとは、国際自然保護連合(IUCN)が作成している、世界で最も包括的な絶滅のおそれのある野生生物のリストです。正式名称は「The IUCN Red List of Threatened Species™」といいます。
IUCNレッドリストの分類
分類(英名) | 分類(和名) | 説明 |
---|---|---|
EX (Extinct) | 絶滅 | 最後の1個体が死亡したことが疑う余地のない種 |
EW (Extinct in the Wild) | 野生絶滅 | 本来の生息地では絶滅し、飼育下・栽培下でのみ生存している種 |
CR (Critically Endangered) | 深刻な危機 | ごく近い将来、野生での絶滅の危険性が極めて高い種 |
EN (Endangered) | 危機 | CRほどではないが、近い将来、野生での絶滅の危険性が高い種 |
VU (Vulnerable) | 危急 | 野生での絶滅の危険性が増大している種 |
NT (Near Threatened) | 準絶滅危惧 | 現時点では絶滅危惧ではないが、将来的に移行する可能性がある種 |
LC (Least Concern) | 低懸念 | 絶滅リスクが低く、保全上の懸念が少ない種 |
DD (Data Deficient) | 情報不足 | 評価するための情報が不足している種 |
NE (Not Evaluated) | 未評価 | まだ評価が行われていない種 |