チョウゲンボウ
Commom Kestral
学名：Falco tinnunculus
分類：ハヤブサ目ハヤブサ科ハヤブサ属
属名の Falco は「鎌」を意味し、翼の形に由来します。種小名の tinnunculus はラテン語で「チリンチリンと鳴る」を意味し、その甲高い鳴き声を表しています。「チョウゲンボウ」という和名は、昔の言葉でハヤブサ類を指した「鶻（こつ）」に由来し、それが転じたものなど諸説あります。
チョウゲンボウの特徴
どれくらいの大きさ？体の特徴は？
体長32-39cm、翼開長65-82cm。ハトほどの大きさです。
オスかメスかで羽の色が異なります。オスは頭部と尾羽が青みがかった灰色で、背中は赤褐色に黒い斑点があります。メスは頭部から背中、尾羽まで全体が褐色で、黒い横縞模様があります。共通して、頬には細い「ヒゲ」模様があります。
どこに生息している？
ユーラシア大陸とアフリカの広範囲に分布します。日本では、冬鳥として全国に飛来しますが、西日本では繁殖する個体もいます。
農耕地、牧草地、河川敷、埋立地など、背の低い草で覆われた開けた環境を好みます。獲物を探すためのオープンな空間と、休息や営巣のための樹木、崖、建物などが必要です。
何を食べて生きているの？狩りの方法は？
主にネズミやハタネズミなどの小型哺乳類を捕食します。昆虫（バッタなど）や小型の鳥類、ミミズなども食べます。
最も特徴的なのは、空中のほぼ一点に留まる「ホバリング（停空飛翔）」です。風に向かって細かく羽ばたきながら位置を維持し、地上を丹念に観察します。獲物を見つけると、体を一直線にして急降下し、捕らえます。電柱や木の枝に止まって獲物を探すこともあります。
絶滅は危惧されている？
IUCNレッドリストでは LC (低懸念) に分類されています。
分布域が広く、個体数も多い種です。しかし、ヨーロッパの一部の地域では、農業の集約化による餌（ネズミや昆虫）や巣場所の減少により、個体数が減少傾向にあります。ネズミを捕食するため、農業にとっては益鳥とされています。
IUCNレッドリストとは、国際自然保護連合（IUCN）が作成している、世界で最も包括的な絶滅のおそれのある野生生物のリストです。正式名称は「The IUCN Red List of Threatened Species™」といいます。
IUCNレッドリストの分類
| 分類（英名） | 分類（和名） | 説明 |
|---|---|---|
| EX (Extinct) | 絶滅 | 最後の1個体が死亡したことが疑う余地のない種 |
| EW (Extinct in the Wild) | 野生絶滅 | 本来の生息地では絶滅し、飼育下・栽培下でのみ生存している種 |
| CR (Critically Endangered) | 深刻な危機 | ごく近い将来、野生での絶滅の危険性が極めて高い種 |
| EN (Endangered) | 危機 | CRほどではないが、近い将来、野生での絶滅の危険性が高い種 |
| VU (Vulnerable) | 危急 | 野生での絶滅の危険性が増大している種 |
| NT (Near Threatened) | 準絶滅危惧 | 現時点では絶滅危惧ではないが、将来的に移行する可能性がある種 |
| LC (Least Concern) | 低懸念 | 絶滅リスクが低く、保全上の懸念が少ない種 |
| DD (Data Deficient) | 情報不足 | 評価するための情報が不足している種 |
| NE (Not Evaluated) | 未評価 | まだ評価が行われていない種 |