
イワチョウゲンボウ
英名:Rock Kestrel
学名:Falco rupicolus
分類:ハヤブサ目ハヤブサ科ハヤブサ属
アフリカ南部に生息するチョウゲンボウの仲間です。かつてはヨーロッパのチョウゲンボウ (Falco tinnunculus) の亜種とされていましたが、現在は独立した種として扱われています。種小名の rupicolus はラテン語で「岩に住むもの」を意味し、その名の通り、岩場を好む性質を表しています。
イワチョウゲンボウの特徴
どれくらいの大きさ?体の特徴は?
体長30-33cm。
ヨーロッパのチョウゲンボウと酷似していますが、より色が濃く、鮮やかです。オスは青灰色の頭部と、斑点のない豊かな赤褐色の背中を持ちます。メスは全体が赤褐色で、黒い横斑があります。
どこに生息している?
アンゴラからタンザニア南部、そして南アフリカ共和国にかけてのアフリカ南部に分布します。
本来は、山岳地帯の断崖や、岩の多い丘陵地帯(コピエ)に生息します。しかし、近年では都市環境への適応が著しく、高層ビルや教会の塔、橋梁などを「人工の崖」として利用しています。
何を食べて生きているの?狩りの方法は?
主にトカゲなどの爬虫類や、バッタなどの大型昆虫、ネズミなどの小型哺乳類、そして小型の鳥類を捕食します。
都市のビル街に生息することもあり、彼らにとってビル街は理想的な狩り場と営巣場所を提供します。 ビルの窓枠や換気口の隙間を巣場所とし、公園や空き地で獲物を探します。他のチョウゲンボウ類と同様に、ホバリング(停空飛翔)を得意とし、交通量の多い道路の上空でホバリングしながら、獲物を探している姿も見られます。
絶滅は危惧されている?
IUCNレッドリストでは LC (低懸念) に分類されています。
人間が作り出した環境をうまく利用することで、その生息域を都市部にまで広げ、繁栄している種です。彼らの存在は、都市という環境もまた、野生動物にとって新たな生息地となりうる可能性を示しています。
IUCNレッドリストとは、国際自然保護連合(IUCN)が作成している、世界で最も包括的な絶滅のおそれのある野生生物のリストです。正式名称は「The IUCN Red List of Threatened Species™」といいます。
IUCNレッドリストの分類
分類(英名) | 分類(和名) | 説明 |
---|---|---|
EX (Extinct) | 絶滅 | 最後の1個体が死亡したことが疑う余地のない種 |
EW (Extinct in the Wild) | 野生絶滅 | 本来の生息地では絶滅し、飼育下・栽培下でのみ生存している種 |
CR (Critically Endangered) | 深刻な危機 | ごく近い将来、野生での絶滅の危険性が極めて高い種 |
EN (Endangered) | 危機 | CRほどではないが、近い将来、野生での絶滅の危険性が高い種 |
VU (Vulnerable) | 危急 | 野生での絶滅の危険性が増大している種 |
NT (Near Threatened) | 準絶滅危惧 | 現時点では絶滅危惧ではないが、将来的に移行する可能性がある種 |
LC (Least Concern) | 低懸念 | 絶滅リスクが低く、保全上の懸念が少ない種 |
DD (Data Deficient) | 情報不足 | 評価するための情報が不足している種 |
NE (Not Evaluated) | 未評価 | まだ評価が行われていない種 |