メンフクロウ

メンフクロウ

英名:Barn Owl

学名:Tyto alba

分類:フクロウ目メンフクロウ科メンフクロウ属

ほとんどのフクロウが属するフクロウ科(Strigidae)とは異なる、「メンフクロウ科(Tytonidae)」に分類される代表的な種です。
その白い姿と、静かに現れる様子、そして甲高い鳴き声から、世界各地で幽霊や死の象徴といった不吉なイメージを持たれることがある一方、農作物に害を及ぼすネズミを捕ってくれることから、知恵や幸運のシンボルとして扱われることもあります。

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メンフクロウの特徴

どれくらいの大きさ?体の特徴は?

体長29-44cm、翼開長80-95cm。

最大の特徴は、白くハート型をした顔の「顔盤(facial disc)」です。この顔盤は、パラボラアンテナのように獲物が立てる微かな音を集め、左右非対称な位置にある耳へと導く役割を果たします。これにより、完全な暗闇の中でも正確に獲物の位置を特定できます。背中側は淡い褐色と灰色のまだら模様で、腹部は白く、小さな黒い斑点があります。

どこに生息している?

極地と砂漠の一部を除く、ほぼ全世界に分布しており、最も広範囲に分布する鳥類の一種です。

農耕地、草原、湿地などの開けた環境を好みます。英名の「Barn Owl(納屋のフクロウ)」が示す通り、納屋、教会の塔、廃墟、そして樹洞などを昼間の休息場所や巣として利用します。

何を食べて生きているの?狩りの方法は?

主にネズミ、ハタネズミ、トガリネズミといった小型哺乳類を捕食します。一つの家族が一年間に食べるネズミの数は1,000匹以上にもなると言われ、農家にとっては極めて有益な存在です。

完全に夜行性で、優れた聴覚を頼りに狩りをします。羽毛の縁が特殊な櫛状になっているため、羽ばたきの音をほとんど立てずに飛ぶ「サイレントフライト(消音飛行)」が可能です。これにより、獲物に全く気付かれずに接近することができます。

絶滅は危惧されている?

IUCNレッドリストでは LC (低懸念) に分類されています。

全体としては安定していますが、一部地域では近代的な農法への転換や、古い納屋の解体による巣場所の減少、殺鼠剤による二次被害、交通事故などが脅威となっています。

IUCNレッドリストとは?

IUCNレッドリストとは、国際自然保護連合(IUCN)が作成している、世界で最も包括的な絶滅のおそれのある野生生物のリストです。正式名称は「The IUCN Red List of Threatened Species™」といいます。

IUCNレッドリストの分類
分類(英名)分類(和名)説明
EX (Extinct)絶滅最後の1個体が死亡したことが疑う余地のない種
EW (Extinct in the Wild)野生絶滅本来の生息地では絶滅し、飼育下・栽培下でのみ生存している種
CR (Critically Endangered)深刻な危機ごく近い将来、野生での絶滅の危険性が極めて高い種
EN (Endangered)危機CRほどではないが、近い将来、野生での絶滅の危険性が高い種
VU (Vulnerable)危急野生での絶滅の危険性が増大している種
NT (Near Threatened)準絶滅危惧現時点では絶滅危惧ではないが、将来的に移行する可能性がある種
LC (Least Concern)低懸念絶滅リスクが低く、保全上の懸念が少ない種
DD (Data Deficient)情報不足評価するための情報が不足している種
NE (Not Evaluated)未評価まだ評価が行われていない種

出典

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