
トラフズク
英名:Long-eared Owl
学名:Asio otus
分類:フクロウ目フクロウ科トラフズク属
トラフズク属 (Asio) は、目立つ羽角を持つのが特徴のグループです。種小名の otus はラテン語で「耳のあるフクロウ」を意味します。和名の「トラフ(虎斑)」は、虎の縞模様に似た褐色の複雑な斑紋に由来します。
トラフズクの特徴
どれくらいの大きさ?体の特徴は?
体長31-40cm、翼開長86-102cm。
長くて目立つ羽角(うかく)が最大の特徴です。この羽角は気分によって立てたり寝かせたりします。全身は、樹皮にそっくりな褐色と灰色の複雑なまだら模様で、優れた保護色となっています。危険を感じると体を細長く伸ばし、羽角を立てて枯れ枝に擬態します。顔盤はオレンジがかった褐色で、目は鮮やかなオレンジ色です。
鳴き声も特徴的で、オスは「ホー、ホー、ホー…」と低い声を一定間隔で繰り返します。メスは鼻にかかったような声で鳴きます。
どこに生息している?
北半球のユーラシア大陸と北アメリカ大陸に広く分布します。日本では、冬鳥として全国に飛来しますが、北海道や本州北部では繁殖もします。
昼間に休息し、営巣するための森林と、夜間に狩りをするための農耕地や草地などの開けた環境が隣接した場所を好みます。極めて夜行性が強く、非常に用心深く臆病であるため、昼間にトラフズクを見つけるのは難しいといわれています。 冬季には、マツなどの常緑樹の茂みの中に、数羽から数十羽が集まって集団ねぐらを形成することがあります。
何を食べて生きているの?狩りの方法は?
トラフズクはげっ歯類を捕食する専門家です。しかし、他の小型哺乳類、一部の鳥類、さらには昆虫も喜んで食べます。獲物には、ハタネズミ、カンガルーネズミ、リス、コウモリ、ウサギ、カエル、ヘビ、ルリツグミ、クロウタドリ、ハト、そして時にはライチョウなどの大型の鳥類も含まれます。
狩りをする際、トラフズクは森の開けた場所や林縁をゆっくりと低空飛行し、獲物を探します。鋭い聴覚を駆使して獲物の位置を特定します。ほぼ真っ暗闇の中でも聴覚だけで獲物を見つけることができるといわれています。獲物の音を聞き分け、位置を正確に特定するために、このフクロウは顔面円盤を巧みに利用して獲物に狙いを定めます。
絶滅は危惧されている?
IUCNレッドリストでは LC (低懸念) に分類されています。
人目につかない場所で生活しているため、人間との直接的な関わりは少ないですが、生息地である森林や採食地である農耕地の環境変化の影響を受けます。集団のねぐらは非常にデリケートなため、観察や撮影の際には過度な接近を避け、フクロウを驚かせない配慮が強く求められます。
IUCNレッドリストとは、国際自然保護連合(IUCN)が作成している、世界で最も包括的な絶滅のおそれのある野生生物のリストです。正式名称は「The IUCN Red List of Threatened Species™」といいます。
IUCNレッドリストの分類
分類(英名) | 分類(和名) | 説明 |
---|---|---|
EX (Extinct) | 絶滅 | 最後の1個体が死亡したことが疑う余地のない種 |
EW (Extinct in the Wild) | 野生絶滅 | 本来の生息地では絶滅し、飼育下・栽培下でのみ生存している種 |
CR (Critically Endangered) | 深刻な危機 | ごく近い将来、野生での絶滅の危険性が極めて高い種 |
EN (Endangered) | 危機 | CRほどではないが、近い将来、野生での絶滅の危険性が高い種 |
VU (Vulnerable) | 危急 | 野生での絶滅の危険性が増大している種 |
NT (Near Threatened) | 準絶滅危惧 | 現時点では絶滅危惧ではないが、将来的に移行する可能性がある種 |
LC (Least Concern) | 低懸念 | 絶滅リスクが低く、保全上の懸念が少ない種 |
DD (Data Deficient) | 情報不足 | 評価するための情報が不足している種 |
NE (Not Evaluated) | 未評価 | まだ評価が行われていない種 |